会 長 浅川 章 |
《2024年度会長メッセージ》 我らが母校・安積高校は、1884年(明治17年)福島県福島中学校として創立され、本年140周年を迎える。爾来、36,000有余の人材が県内外をはじめとして国際的にも活躍するなど輝かしい歴史と伝統を築いてきた。創立以来の伝統とされるのは開拓者精神である。
校舎は福島県中央の安積郡の一寒村だった桑野村に建設された。学校の周囲は桑畑が連綿と広がり、彼ら中学生の健児たちは戊辰戦争の傷跡から懸命に立ち直らんと苦闘する県民や、没落士族によって建設された安積疎水に象徴される安積地方の開拓の姿を見て開拓者精神を身に付けていった。人々もまた、荒廃の中から復興の担い手となる人材の育成に希望を託した。彼ら中学生は厳しい環境の下、校舎、運動場などを整備しながら開拓者にならんと固い決意のもとに勉学に励んだに違いない。その中にひときわ向学心に燃える少年がいた。少年は安積中学を首席で卒業し、東京専門学校を経て太平洋を渡った異国の地に学び、国際的な歴史学者として活躍した。昨年、生誕150年を迎えた朝河貫一博士である。
今日、開発の波は5大陸の隅々にまで及んでフロンティアはほぼ消滅したとされる。
翻って、現代社会には未開拓の不気味な荒野が出現した。地球を覆う気候危機、戦争、感染症などである、2023年は年間を通して地球の平均気温が観測史上最高を記録し、国連事務総長は「地球崩壊が始まった」と言明した。こうした巨大な荒野に対して、その病根にメスを入れ、人文・自然科学の鋤や鍬を持って敢然と立ち向かう開拓者の出現が待たれている。安積健児の中から開拓者精神に溢れて勇躍、隊列を組んで陸続と広大な荒野に入っていく群像を想像することは愉快である。
一世紀半になんなんとする安積の歩みを顧みるとき、21世紀の幕開けの2001年は歴史に刻まれるべき年となった。一つは野球部の甲子園初出場であった。新設の21世紀枠での待望久しき甲子園出場は正に文武両道の証であった。アルプス席を埋め尽くした6,000人のOBが大声援を送り、アルプスに陣取った一人としてその地鳴りのような響きは今も耳朶に残っている。対戦相手は石川県の金沢高校で、健闘及ばず1−5で敗れた。
もう一つは男女共学がスタートしたこと。男女共同参画社会の推進という時代の流れに沿った改革で新たな一歩を踏み出した。順調に20余年を経過し、定着した。この際、東京桑野会の活性化の方策として、共学化以降の各期幹事は男女各1名として、明文化し、確立したい。女性幹事には総会や幹事会をはじめ諸行事の活性化のパイオニア(開拓者)として参画されるよう大いに期待している。
首都圏を中心に内外で活躍している安積のOB・OGの皆さん、特に中堅・若手の諸氏、まずは、東京桑野会の刷新され、リニューアルしたホームページを参照あれ。そして、6.14には新しい総会会場になった目黒雅叙園に集い、共に校歌を斉唱し、母校140周年記念の総会を盛大に祝おうではないか。 (東京桑野会会長 浅川 章)
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